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2025/12/18 20:16


私は、青森県出身ではありません。
栃木県で育ち、ワイン醸造を学び、経験を重ねたあと、
縁あって青森県鶴田町でぶどう畑に立つようになりました。

外から来た人間だからこそ、
この土地に当たり前のように存在してきた畑や風景が、
とても尊く見えました。


後継者のいない畑が、静かに増えている

青森県鶴田町は、スチューベンぶどうの日本一の産地です。
町の特産として50年以上栽培されてきたスチューベンですが、
いま、後継者不足という大きな課題に直面しています。

高齢化により、
「もう畑を続けられない」
「誰か引き継いでくれる人はいないか」
そんな声を聞くことが増えました。

実際、つい昨日も、
やめていく農家さんから
スチューベン畑を引き継いでほしい、という相談を受けました。


それでも、引き継ぐという判断

正直に言えば、
これ以上栽培面積を広げることは簡単ではありません。
人手も、時間も、体力も限られています。

それでも、スリーファームは
後継者のいないスチューベン畑を引き継ぐことを選びました。

理由は明確です。
この産地を、簡単に失ってはいけないと思ったからです。


なぜ鶴田町でスチューベンなのか

スチューベンは、アメリカ・ニューヨーク原産のぶどうです。
鶴田町はニューヨークとほぼ同じ緯度にあり、
冷涼な気候と昼夜の寒暖差が、スチューベン栽培に非常に適しています。

その結果、
鶴田町は日本で最もスチューベンの生産量が多い地域になりました。

これは偶然ではなく、
土地と品種の相性が生んだ必然だと感じています。


食べる、搾る、醸す

スチューベンは用途の多いぶどう

スチューベンは、生食用として親しまれてきました。
同時に、果汁が多く、果実味が厚いため、
ジュース用としても、ワイン用としても価値があります。

「いろいろ使える」ということは、
中途半端という意味ではありません。
それだけ表現の幅が広いぶどうだということです。


ジュースは「手段」ではなく、「本気の表現」

スチューベンジュースについて、
「ワインをつくれないからジュースなのでは?」
そう思われることがあります。

ですが、スリーファームにとって
ジュースは妥協でも、つなぎでもありません。

ジュースには、ジュースにしかできない表現があります。

アルコールがないからこそ、
果実そのものの香りや質感、余韻が、
より正直に伝わります。

ワイン醸造の技術や考え方を使いながら、
本気で向き合っているからこそ、
「今までのぶどうジュースとは違う」と言っていただけるのだと思います。


ジュースは、スチューベンと出会う入口

スチューベンを食べたことがない人は、意外と多い。
けれど、ジュースなら、手に取ってもらいやすい。

ジュースをきっかけに、
「スチューベンってどんなぶどうなんだろう」
そう感じてもらえたら、
次は生のスチューベンを味わってほしい。

その先に、
産地や畑への関心が生まれたら、
これ以上嬉しいことはありません。


未来へつなぐために

スリーファームは、
この産地を独りで抱え込もうとは思っていません。

これからスチューベンをやりたい若い人がいれば、
畑を引き継いでもらってもいい。
そのためにも、
他の農家さんと連携しながら、
スチューベンの魅力を伝え続けていきたいと考えています。

栃木から来た一人の造り手として、
この土地で出会ったスチューベンを、
次の世代につなぐ。

ジュースも、その大切な一つの形です。


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